5-23.昭和10年・八百屋のトラさん   ・ 


家の前での集合写真/昭和10年

この写真が入っていた油紙には、
《昭和十年十月三十日 祖父・従妹トシ・トラ・宏・脩司・母・しず》
と書かれていましたので、伯父が16歳頃に、家の前で撮った写真です。

一番左が伯父の祖父(私の祖祖父)で隣の着物姿が従妹のトシさん、続いてトラさん、母(私の祖母)、お手伝いさんのしずさんです。
そして前列が8歳になった五男の私の父と、四男の伯父です。

皆さん実際にお目にかかったり、写真で拝見していたので誰が何方か、ほとんど判りましたが、後ろで笑っているトラさんだけが誰か判りませんでしたが、この写真と同じ日付の写真がもう1枚見つかり、こちらの油紙には、
《昭和十年十月三十日千葉の八百屋トラさん》と書かれていて、ようやくわかりました。

多分、従妹のトシさんがいらっしゃったので、家にいる人だけで写真を撮ろう!
となり、たまたま来ていた八百屋のトラさんも、『一緒に入りましょう!』となり、皆で撮ったのが上の写真のようです。

下の写真をみると、今度はトラさん一人が緊張の面持ちをして写っています。


千葉の八百屋のトラさん/昭和10年

思うに、『せっかくの機会だから、トラさん一人でも撮りましょう!』
となったのだと思いますが、先ほどの頭に巻いた手ぬぐいも脱ぎ、やはり写真を撮ることに固くなっているようです。
最初の写真と比べると、その表情の違いがハッキリしていますね。


この事を後日伯父に問いましたところ、
「まさしくその通り!」との事でした。

また写真を見ると、家の前にはゴミ収集箱らしきものが各家々に置かれているのが判りますし、トラさんの後ろの箱は牛乳入れでしょうか?
伯父の家は京成線の駅が近いこともあって、千葉方面からの行商の方も相当多かったそうです。
京成線では行商専用列車が運行されていたそうですが、現在は専用車両が1両のみ連結され運行されているようです。

それにしても、こうして誰彼構わずに、気楽に写真を撮っている事も、また驚きのひとつです。


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