昭和からの贈りもの 第2章 大正時代

 2-34.大正15時代 キューピー   ・ 


 鹿沼 和室床の間/大正時代

こちらは年代が不明な写真です。
床の間があるお部屋で裁縫をしている様子ですが、写真の台紙には鹿沼の大貫写真館撮影と記されていました。

掛け軸が吊られ、当時としては立派な時計も置かれ、左側には日本人形や洋酒らしきものも見えます。


当初は明治時代の写真か?と思ったのですが、床の間に飾られている置物の中に、なんと【キューピー人形】と思われるものがありました。

このキューピーは明治42年にアメリカの雑誌にキャラクターとして登場したのが最初と言われているようです。
そしてこのキューピーが人形として登場するのは明治45年(大正元年)にドイツの工場で製造されてからですので、少なくてもこの写真は明治時代ではないようです。

大正3年には三越がアメリカから初めて輸入をし、また葛飾のセルロイド工場でも国産キューピーの製造を開始したと言われています。
因みに葛飾区内には【葛飾セルロイド工場発祥の地の碑】があります。
これはキューピー人形を製造したと言われる【千種セルロイド】が大正3年に創業を始め、以降葛飾ではセルロイド工場が増え、戦後にはセルロイド製品の9割が葛飾で生産され、葛飾の近代工業発展の土台となった事によります。


上はそのキューピー人形の部分を拡大したものですが、その姿は確かに私たちが現在知っている【キューピー人形】です。
こうしたことから、この写真は少なくても大正3年以降から、祖母が結婚する前に大正7年頃までに撮影されたものでは?
と思います。

それにしても、立派な時計や掛け軸と同様に床の間に飾られていると言うことは、当時としては珍しい人形であった。
と言う事が分かる1枚かも知れません。


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