3-11.昭和5年・少年倶楽部 2   ・ 


右から・児童年鑑昭和11年発行/少年倶楽部・昭和5年9月号
少年倶楽部・昭和7年10月号/キング・昭和2年6月号
上は昭和初期の少年誌や雑誌ですが、右から【児童年鑑・昭和11年発行】・【少年倶楽部・昭和5年9月号】・【少年倶楽部・昭和7年10月号】・【キング昭和2年6月号】です。

現代の少年雑誌といえばマンガが中心の雑誌ですので、当初【少年倶楽部】とは現在と同じように、漫画を中心とした雑誌と思っていましたが、実際に古い雑誌を手にして読んで驚きました。
というのも、この頃の【少年倶楽部】は漫画は非常に少なく・・・というよりほんの僅かで、殆どが読み物で構成されていました。

更に驚いたのは、吉川英二氏、菊池寛氏ら名だたる作家やサトウハチロー氏や野口雨情氏ら童謡作家も名を連ね、彼らの小説や読み物を始め、世界の紹介や、理科や社会、歴史の記事や読者参加型のコーナーなどが盛りだくさんです。
また挿絵も当時の大御所と言われる画家の絵がふんだんで、写真以上にリアル感のある作品が揃っています。
更に、毎号懸賞があり、今では考えられない程の豪華なボリュームです。
ある号では、一等がオルガン2名、五等が柱時計10名、六等が顕微鏡10名、そして二十等が本カバー10000名と続きますが、なんとも驚きです。

その後、漫画も大切な楽しみという事から昭和6年になって登場したのが、【のらくろ】です。
昭和7年の11月号をみますと、【のらくろ】はたった4ページですが、この連載が始まるや否や、【のらくろ】は一躍国民的スターになって行くのは周知の事です。
下は連載が始まって以降に発売された単行本ですが、のらくろはその後10年以上も続く事になります。
【のらくろ】については昭和8年・博覧会2 のらくろ不思議館にも記載があります。


この他にも、昭和8年には【冒険ダン吉】の漫画の連載が始まり、また江戸川乱歩の【少年探偵団】も昭和9年から連載が開始され、ますます【少年倶楽部】は人気の雑誌となって行きました。

当時、伯父たちが読んでいた雑誌は、他には【幼年倶楽部】、【キング】等があったそうです。
どちらかというと【幼年倶楽部】は小学低学年から4年生までで、【少年倶楽部】は小学校高学年向け。
そして【キング】が中学生向けだったそうで、こうした雑誌は、兄弟5人はもちろん、近所の子供たちと一緒に、それこそ破れるほど見ていたそうです。

また他にも【日本少年】【少年世界】【少年少女譚海】【少女倶楽部】などがあり、この頃はさながら少年雑誌戦国時代という感じですね。
下は昭和7年頃の伯父の自宅2階の写真ですが、友人が手にしているのは、少年倶楽部かキングのようです。



1枚目の写真右端に写っている【児童年鑑】は昭和11年発行のものですが、内容がとても素晴らしいものです。
皇室関係の記載から始まり、日本や世界の歴史はもとより、地球の歴史をカラー絵図で紹介したものや人体の構造や健康、日本各都道府県のマーク、人口、気温、特産、標高といった記載から、栄養素一覧に鉄道路線図。
歴代内閣一覧や人名一覧、国史年表に神社一覧。
そして時節柄、世界の国力一覧や、階級賞一覧に、軍艦の解説などもありますが、これ一冊でいろいろな情報がわかる本です。

ラジオもテレビも無い時代だからこそ、こうした雑誌や本が貴重な情報源となり、楽しみだったのでしょうね。



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