4-7.言問通り いまむかし 2   ・ 

言問通りに戻り、根津方面右手にあるのが前頁【浄名院】です。

そして反対側に渡ると寛永寺になります。
この寛永寺については【大正12年・上野公園大佛下】【昭和5年・寛永寺】を参照下さい。

言問通りを進んだ左手角にあるのが、建物こそ昭和に入ってからの家屋ですが、大正3年に創業し、当時から自前の井戸水で作っているという【藤屋豆腐店】です。
伯父もよく食べていたそうですが、我が家でも桜木に行った際は、いつも買っているとても美味しいお豆腐です。
今では台東区内で井戸水を使っているのはここだけのようです。


井戸水を今も利用している藤屋豆腐店
先に進むと、右手に古い家屋が見えます。
看板には【吉田屋酒店】とありますが、現在【下町風俗資料館】の付属展示場として、広く一般公開されています。

入場無料の資料館という事で、日曜祭日になりますと、たくさんの方がここを訪ねてこられますが、この建物は、明治43年に建てられた酒屋さんで、昭和61年までは実際にこの建物で営んでいたそうです。

当時営業していた場所は、同じ谷中地区ですが、こことは別の場所だったものを移築されたそうで、中には当時使っていた秤や酒瓶等も展示されています。

他にも古い調度品や消火ポンプ等展示されておりますが、明治大正の温もりが伝わってきます。



下町風俗資料館付属展示場 旧吉田屋酒店
【旧吉田屋酒店】の交差点が上野桜木交差点ですが、反対側の角に建っているのが【カヤバコーヒー】の古い建物です。

黄色の看板が目印のこの喫茶店は、明治時代に建てられた家屋で、喫茶店は昭和13年から姉妹が営業をしていました。

残念ながら現在は長期休業中のようですが、伯父もよくここでコーヒーを飲んだそうで、お店の再開が待ち遠しい限りです。

平成21年9月から再び営業を再開しました。


カヤバコーヒー
そしてこの交差点にあるもう1軒が、古くからの【佐野屋酒店】です。

表にはビールのケースが並び、冷蔵庫も見えますが、陳列しているのは全てキリンビールです。
まさに昔からの正統派の酒店と言う感じがする1軒ですね。

この上野桜木交差点の坂道を下ると根津となり、その先が東京大学となります。

交差点を左に向かえば、東京藝術大学のキャンパスや上野公園、上野動物園を経て上野駅に続きます。

そして右に折れると、根津方面へ続く道と、谷中墓地や天王寺方面へ通じる【谷中さくら通り】となります。

尚、この通り沿いには、創業80年の【岡埜栄泉】や【愛玉子(オーギョーチイ)】など古くからのお店が軒を連ねています。
特に【愛玉子】は、祖母と何度か食べにきた事がある懐かしい味のお店です。

このように、言問通りや上野桜木には古い建物やお店が数多く残っており、休日になると谷中界隈を散策する方々の姿が多く見られます。

また雑誌や、テレビなどでも良く取り上げられますが、東京都内でも数少ない古き東京が残る街並です。


佐野屋酒店

愛玉子(オーギョーチイ)

←BACK ・ NEXT→

昭和の出来事(昭和6年昭和7年昭和8年

昭和からの贈りものTOPへ