7-19.昭和17年・召集令状   ・ 



現役兵證書

平成24年5月17日に旅立った伯父の遺品を整理していたら、小机の引き出しの一番奥から小さな紙が出てきました。
開けてみると【現役兵證書(現役兵詔書)】の題名で【本郷聯隊區司令官(本郷連隊区)】からのものでした。

現 役 兵 證 書
 本郷聯隊區(本郷)連隊区
 東京市下谷区上野桜木40
戸主 唯八 長男
歩兵 平井 寛
右現役兵ニ徴収シ左ノ通リ入營ヲ命ズ
一、 入 營 部 隊  東部第七部隊
二、 入營部隊所在地  東京市赤坂區青山北町
三、 入營期日及時刻  昭和十七年二月一日 午前九時(午前八時集合)
  昭和十七年一月十日
      本郷聯隊區司令官

つまり軍隊へ配属される【召集令状】のようです。
本郷連隊区とは戦時中の大日本帝国陸軍の連隊区の一つで、東京市の本郷区、浅草区、下谷区等と埼玉県の一部が管轄区でした。
東京市には他に麻布連隊区があり、麻布区、日本橋区、赤坂区などを管轄していました。


現役兵證書 裏面 心得概要

そして裏面には次のように記載されています。

心 得 概 要
入營ノ際本證書ヲ携行スヘシ、若シ本證書ヲ失ヘタル時ハ市町村長ヲ經テ下付ヲ聯隊區司令官ニ願出ツヘシ
主要準
備事項
1. 入營ノ月日時刻ヲ誤ラヌ様處置シ置クコト
2. 入營部隊所在地若シクハ集合場所ニ至ル経路ヲ研究シ置クコト
3. 入營ノ前夜旅館ニ宿泊セントスル者ハ宿泊申込票ヲ早ク役場ニ差出シ置キ指定宿舎ノ割リ当テヲ受ケルコト
4. 入營ノ際携行スヘキ諸品ハ今カラ用意シ置クコト
5. 其ノ他徴兵検査壯丁父兄心得冊子中二十一頁ヨリ二十六頁ノ事項ヲ熟讀準備スルコト
朝鮮、臺灣、關東州、満州國及支那ノ各地ニ居ル寫指定集合地ニ集合スルヲ不便トスル者ハ現役兵證書受領後直チニ單獨入營届ヲ本籍ノ市區町村長ヲ經テ聯隊區司令部ヘ差出スコト
傷痍疾病其他避クヘカラサル災難事故等ニ依リ所定入營期日ニ應召シ難キ者ハ速カニ本籍地ノ市區町村役場ニ届出テ指示ヲ受クヘシ
轉籍其ノ他戸籍上ノ異動アリタル時ハ本證書ト共ニ異動ノ旨ヲ役場宛至急届出スヘキ

現代風にまとめると

もしも本詔書を紛失した場合は市町村長を経て連隊区司令官に届けること・・・
入営日時を間違えないよう・・・
入営部隊の道順を事前に調べるように・・・
入営前日に旅館に泊まる場合は役場に届け、指定の宿の割り当てを受ける事・・・
朝鮮、台湾、関東州、満州国、支那の各地に居て、指定集合地に集合出来ない場合は本籍の市区町村長を経由して連隊司令部に差し出すこと・・・
怪我や病気その他災難事故によって所定の期日に集合することが難しい者は市区町村役場に届けて指示をうけること・・・

などの記載が読めます。
この詔書が届く前の昭和17年1月8日に伯父は横濱正金銀行に入社しましたが、その1ヶ月後には軍隊に入隊する事になったという証でもあります。
本来ならまだ大学生活の最後の4年生生活を迎える頃でしたが、最初の学徒出陣によって卒業を3ヶ月間早め、軍隊に一足早く召集されたことになります。
そして軍隊に入隊した事で、伯父のその後も大きく変わることとなりました。


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